アクアリウムを年間を通して楽しむ場合、どうしても、7~9月の水温管理に苦労するようになると思います。
水草が状態良く育つ適正水温は23~27度前後と言われています。
又、水草だけではなくアクアリウムで楽しむことが多い熱帯魚は赤道に近い熱帯~亜熱帯に生息、分布している種類が多いです。
その為、如何に水温を保っていくかが重要になってきます。
今回は春~夏に水温管理をする上で使用することが多い水槽用冷却ファンについて分かりやすく説明していきたいと思います。
Contents
水槽用冷却ファンの必要性について
水槽内の水温は基本的には外気温に左右されることが多いです。
夏の日中になると部屋の室温は30度を超えることがほとんどです。
暑い日に関しては外気温が38度まで上昇すると室内の水槽の水温は33度まで容易に上昇していきます。
アクアリウムで楽しむことが多い熱帯魚や水草は赤道に近い熱帯~亜熱帯に生息、分布している種類が多いですが、あまりに水温が高いと適応できずに亡くなってしまったり枯れてしまいます。
また、淡水の硝化細菌は30℃を超えると活性が低下すると言われています。
他にも寒暖差があると、急激な水温変化では硝化活性が低下すると言われてます。
基本的に淡水魚を飼育している方が多いと思いますので、バクテリアの活性が落ちたりして硝化サイクルが崩れることや水温が高いことで、水槽内の酸素飽和度が低下することも生体が亡くなりやすい要因になると思います。
そうした場合、室温をクーラーで冷たくすれば、水槽内の水温も保つことができるようになります。
しかし、水槽の温度を一定にするために年間を通して空調で管理するのは電気代が高く家族の非難も強くなると思います。
水槽用冷却ファンは機種にもよりますが、冷却ファンを使用することで水温を2~5℃程下げることが可能です。
その為、室内のクーラーや水槽用クーラーをどうしても使えないという場合に少し役立ちます。
水槽用冷却ファンについて
水槽用冷却ファンは水面に風を送り、揺らすことで水を蒸発させ、気化熱を利用して水温を下げています。
気化熱で水温を下げるため、他の冷却装置に比べると効果は弱いですが、2~5℃程度水温を下げることができます。
水槽内の飼育水を蒸発させて使用する為、主に水質の変化が少ない淡水水槽での飼育に使用は限られます。
水槽用冷却ファンのメリット
安価であり、比較的入手しやすく、設置も簡単。
水槽用冷却ファンの最大のメリットはアクアリウム専門店だけではなく、ホームセンター等で気軽に購入できる点だと思います。
金額自体も2000~5000円程度の為、他の冷却システムに比べると安価で購入しやすいです。
また、水槽用クーラーやエアコンは購入してから設置が難しく、初心者にはかなりの精神的負担だと思います。
しかし、水槽用冷却ファンはコンセントを差して水槽の縁に挟むだけのものが多いので、設置自体も簡単に行うことができます。
消費電力が少ない。
家族や家庭内の団欒の中で言われることで多い電気代が今月高いんだけど!!があまりないです。
水槽用冷却ファンの消費電力自体が1Wから10W前後の物が多いので、月にかかっても200円程度だと思います。
その為、家族の機嫌を損ねる可能性は低いです。
排熱による室温上昇がほとんどない。
水槽用クーラーを使用する場合、水槽内を設定温度まで冷やすことができる代わりに排熱があり、室内が暑くなります。
イメージはエアコンの室外機の風を夏に当たると凄い熱風がくると思います。
その排熱が室内に放出される形になります。
その為、水槽内はよく冷えるけど室温がどんどん暑くなるため、消費電力やパワーが必要になるという悪循環に陥ることが多いです。
一方、水槽用冷却ファンの場合モーターはついていますが、室温が暑くなるほどの排熱は一切ありません。
その為、必ずしも常にエアコンを使用しないといけないという状態には陥りにくいと思います。
水槽用冷却ファンのデメリットについて
水槽用冷却ファンの稼働音が大きい。
商品によるかもしれませんが、水温を冷やす為にファンが水面をずっと揺らしているため、稼働音がかなり大きいです。
高水温の場合はより送風量を多くする必要があるため、高回転になり、モーターの稼働音や風切り音がかなり生活していて気になると思います。
実際にリビングで使用していた際に家族からクレームがきたことがあります。
寝室に水槽を設置していた時は寝れないくらい気になります。
対策としては人がいない時間帯は水槽用冷却ファンをメインに使用して人がいる際は室内クーラー等を併用して稼働時間を短くする等の工夫が必要です。
水温が下がり過ぎる可能性がある。
これも商品によるかもしれませんが、水槽用冷却ファンはサーモスタットがついていない物も多いです。
サーモスタットがついていないと常にファンが稼働しているため、昼間の暑い時間帯は大丈夫かもしれません。
しかし、春や秋など昼間は暖かいがまだ夜間の室温が低い場合、常にファンが稼働していることで水温が冷えすぎてしまう可能性があります。
テトラの水槽冷却ファンのように冷えすぎ防止サーモスタット(水温24~25℃でOFFされます)が内蔵されている場合は設定水温に到達すると自動でファンが稼働しなくなるため、便利だと思います。
人によっては、冷却ファン用逆サーモスタットをあえて使用する場合もあります。
サーモスタットが内蔵型ですと、どうしてもメーカーが設定した水温までしか調整できない為、飼育している生体に合わせた水温管理が難しくなります。
例えば、メダカや金魚、オスカー等のシクリッド系は必ずしも25度以下にしなくても飼育を楽しむことができます。
そうした時に冷却ファン用逆サーモスタットを使用していると、自分の狙った水温になるように水槽用冷却ファンをコントロールできる為、重宝します。
また、上記で書かせて頂いた、水槽用冷却ファンの稼働時間もある程度水温が許容できる生体でしたらファンの稼働時間自体も短くなるため、より問題が解決しやすくなります。
水槽内の水の減りが早く、水槽の蓋を使うことができない。
水槽用冷却ファンは水面に風を当て、揺らすことで水を蒸発させ、気化熱を利用して水温を下げています。
その為、室内の湿度や水槽の大きさ、商品の送風量にもよりますが、かなり飼育水が蒸発してしまいます。
その為、水槽のサイズが小さければ小さい程、水槽内に水を足す回数がかなり多くなります。
毎日のようにこまめに水槽内に水を足すことができれば、問題は少ないかもしれませんが1週間や2週間ごとに水をまとめて足したりする場合、生体によっては水質変化が激しくなり、ストレスにより調子を崩したり、最悪の場合、亡くなってしまう可能性があります。
水槽の蓋を使用することもできない為、マクロストマやサイアミーズフライングフォックス等のよく水槽から飛び出してしまう生体を飼育したい場合、水槽の蓋が必須になってきます。
飛び出してしまうような生体を飼育したい場合、水槽用冷却ファンを使用することはかなり難しいと思います。
気温や環境によっては冷却能力が足りなくなる場合がある。
水槽用冷却ファンは気化熱を利用して水温を下げています。
60cm以上の水槽のように水面の面積が多い場合や水量が多い場合、気化熱だけでは水温を下げることが難しいです。
また、湿度が高い部屋ですと、気化する水分が少なくなるため、充分に水温を下げることができないこともあります。
他にも水槽用冷却ファンは2~5度程度までしか水温を下げることができない為、真夏のように外気温が35度以上こえてくると必然的に室温もかなり高くなります。
そうした場合、水槽用冷却ファンは冷却できる温度に限界があるため、飼育している生体に適した水温にならない可能性が高いです。
まとめ
簡単に今回の記事のポイントをまとめます。
・水槽用冷却ファンは水面を風で揺らして気化熱で、水温を下げる。
・メリットとしては安価であり、比較的購入しやすい。
・設置も簡単。
・消費電力が少ない。
・デメリットとして、稼働音が大きく、狙った水温にしにくい。
自宅で楽しくアクアリウムを楽しみたいけど、夏場に水槽用クーラーや室内用のエアコンの導入にはまだ手が出せないなという場合、選択肢の一つになってくるかと思います。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。