今回は実際にタマミジンコを繁殖させる実際の方法について分かりやすく説明していけたらなと思います。
タマミジンコとダフニアオオミジンコは少し管理が違うので分けさせて書かせて頂きますが被る点も多いかもしれません。
タマミジンコはダフニアオオミジンコに比べ、繊細な為、本格的な培養方法を書かせて頂きます。
5年程、試行錯誤する上でミジンコ類の大量培養技術の開発と魚介類幼生への餌料効果に関する研究やその他論文を参考にしています。
Contents
タマミジンコの繁殖に使用する容器について
容器が大きい方がタマミジンコを多く採取できるため、お勧めです。
又、エアレーションをして強通気させるため、どうしても水流が少しできてしまう場所があります。
容器が大きいことで、水流がない場所を作ることが出来るため、タマミジンコは安定して増えやすく感じます。
屋外編
個人的には屋外でタマミジンコを繁殖をする場合でしたら、トロ舟がお勧めです。
610mm×奥行468mm×高さ185mmとサイズは大きくなってしまいますが、リスプラ舟は屋外使用を考慮されており、紫外線劣化防止剤を混ぜているため、紫外線で劣化して割れることがないです。
材質もポルプロピレン製で、植物や生体に害を及ぼす可能性は低いと思います。
プラ舟だとサイズが大きい場合でしたらNVBOX13が287mm×435mm×145mmと使い勝手がいいと思います。
NVBOXを使用する場合は半透明と黒がありますが、黒だと真夏に水温がかなり熱くなってしまう可能性があるため、日陰で使用することやすだれをかけてあげる必要があります。
半透明の方がミジンコを培養した時に汚れが見えやすいので水質悪化に気が付きやすいことや水温が黒に比べ、上がりにくい為、お勧めです。
NVBOXを使用する場合、紫外線により2年程度で容器が割れてしまうことが多いので、あくまで毎年、買い替えるつもりで購入するのがいいと思います。
発砲シチロールは水温の1日の変化が少ない為、お勧めですが、2年程使用すると紫外線による劣化で気づいたら穴が空いていたり、雑草が突き抜けてしまう可能性があります。
水槽を使用するのも有りだと思いますが、アクリル水槽は紫外線に弱いことやガラス水槽は接続部のシリコンが紫外線で劣化しやすく、水漏れの原因になるため、お勧めはできません。
屋内編
屋内ですと紫外線による劣化の心配があまりないため、サイズが比較的小さい物があるNVBOXか水槽が使いやすいと思います。
立ち上げる際にミジンコの全滅を防ぐため、2~3個容器を立ち上げることが多いのである程度規格が決まっており、市販で気軽に台を購入することができるものが使いやすいと思います。
水槽のサイズ的には30cmキューブ水槽~60センチ水槽ですとスチールスタンド60cm用水槽台に置けたりするので使い勝手がいいと思います。
タマミジンコに使用する光について
ミジンコの増殖には光は関係ないと言われています。
しかし、平均寿命は光が当たっている方が2倍近くまで伸びると言われています。
また、タマミジンコの餌として使用することが多い淡水クロレラは光合成をします。
淡水クロレラが光によって光合成を促進させ、水中の溶存酸素量が増えることで寿命が伸び、増殖率もあがると考えています。
その為、私は屋外では日光が当たる所に置き、あまりに水温が高くなってしまう場合は半分から三分の1程度すだれを使用しています。
屋内で培養する際は普段使っている水槽用ライトを使用しています。
タマミジンコの水温について
タマミジンコの代謝は26℃~28℃で最大になると言われています。
又、monia属というプランクトンも水温が高ければ、高い程増殖率が上がると言われています。
その為、水温は屋外で増殖する際はそこまで気にしていませんが、室内で行う場合はコントローラー付きの水槽用ヒーターで27℃~28℃になるように調整しています。
ヒーターはずっと使っていると壊れやすく高温になってしまったり、壊れてしまうことがあるため、1~2年ごと買い替えると安心できます。
タマミジンコ水槽のエアレーションについて
タマミジンコを増殖させるうえでどうしても過密ぎみになってしまい、酸欠に陥りやすい為、エアレーションは必須だと思います。
しかし、タマミジンコは水流に弱くエアレーションを強く行ってしまうと死滅しやすくなってしまいます。
色々試した結果、水面で半分エアーストーンを出してエアーを強く出すのが1番簡単で効果的でした。
エアーストーンはスドーのバブルメイトが四角形で泡も細かく使いやすいです。
ミジンコ類の大量培養技術の開発と魚介類幼生への餌料効果という論文ではパイプを2個組み合わせて水流を起こさず、エアーを強通気させています。
タマミジンコの餌について
タマミジンコの餌は淡水クロレラ、ドライイースト、エビオス錠、ホウレン草パウダー、鶏糞、グリーンウォーター等色々あります。
タマミジンコはミジンコの中でも安定して培養するのは難しく、基本的には淡水クロレラを使用するのが1番いいです。
淡水クロレラを大体20ℓに対して10ml程入れて試していき、タマミジンコの増殖や自宅の環境に合わせて濃度を少しずつ調整していくのがお勧めです。
実際に私は淡水クロレラと鶏糞抽出液を使用して培養しています。
淡水クロレラだけに比べ、鶏糞抽出液を一緒に使用するとかなり、増殖率がいいです。
鶏糞には天然エストレゲンが含まれており、タマミジンコの増殖を促進させる効果があると言われています。
実際に、コイを養殖している池等に行くと池に鶏糞を撒いてミジンコを増やしています。
市販の鶏糞1キロを浄水器を通した水かRO水5ℓで煮沸して上澄み液を使用しています。
鶏糞抽出液(上澄み液)を1ℓ当たり2mlから始めてクロレラと一緒に添加しています。
上澄み液は全部の水槽に行うのではなく、初めは3本立ち上げた1本だけとかから試してみてください。
タマミジンコ水槽の立ち上げ、管理方法について
まず、容器に浄水器を通した水を入れます。
甲殻類は薬品に弱いことが多いので、カルキ抜き等は使わないほうが安心です。
どうしても浄水器がない場合、汲み置きしてエアレーションか日光を1日当てた水を使用してください。
この時に容器に入れる水の量を覚えていると何か失敗をしたときに餌の量や水替えの量を調整しやすくなり、自分の環境により合わせやすくなります。
容器は全滅した時のことを考え2~3個立ち上げると安心です。
容器に水を張った後、20ℓに対し、10ml程濃縮クロレラを入れて混ぜます。
水面付近にエアーストーンを出して洗濯ばさみ等で固定し、強通気させます。
この時に水流ができていないか確認すると良いです。
その後、タマミジンコを入れます。
他の水槽や外からタマミジンコ以外のプランクトンが入らないよう、半分以上蓋を私はしています。
立ち上げてタマミジンコが増えてくると飼育水に入っている淡水クロレラがタマミジンコに捕食され薄くなってくるので、毎日、淡水クロレラを足してあげます。
1週間たたないくらいになると飼育水が黄緑色から土色に変化していきます。
このころになるとタマミジンコもかなり増え、溶存酸素量が少なくなってくるので、血中のヘモグロビンが増え赤くなります。
そうするとタマミジンコの増える場所が無くなってきて死滅し始めるため、タマミジンコを半分以上間引いてあげる必要があります。
立ち上げた次の日かから餌として毎日与えていたらもう少し、タマミジンコの数は少ないかもしれません。
容器の下にタマミジンコの死骸の残骸や老廃物が溜まって土色ぽくなってきているので、そのままにしているといずれ、水質が急激に悪化します。
その為、下に溜まっている汚れを出しながら、水替えを3分の2程してあげます。
全部出してしまうと調子を崩すことがあったので、少し汚れも残してあげるのがいいかもしれません。
環境によって変わってくると思いますが、大体水替えの頻度は2~3日に1回くらいになってくると思います。
このような感じで様子を見ながら、水替えと餌を与えて1か月ほどでリセットします。
今までリセットしないでやったこともありましたがある日突然急激に調子を崩し、死滅することやタマミジンコ以外の動物性プランクトンが増えることがあったので、1か月ほどでリセットするのがいいと思っています。
屋外でやる場合、秋~冬になると水温が下がってきて増殖する速度が遅くなり、死滅しやすくなるので、室内に移行していくのが安全だと考えています。
昨年より水替えとリセットが大変になってしまい、ブラインシュリンプを毎日8g沸かしているため、タマミジンコの培養を行っていませんが、又再開した時に写真を撮って載せさせて頂きたいと思います。
まとめ
簡単に今回の記事をまとめます。
・容器は屋外の場合、紫外線の劣化により割れる可能性があるため、注意が必要。
・水温は30度以内でしたら高めが代謝促進され増殖しやすい。
・日光やライトがある方がミジンコの平均寿命が伸びやすい。
・餌は淡水クロレラを使用するのが1番再現性が高い。
・エアレーションはタマミジンコが増えるにあたり溶存酸素量が減るため、必須。
・エアレーションをする際には水流ができないよう工夫が必要。
・餌と水換えのタイミングは目視で確認して自分の中で指標を作るのが大切。
本格的な培養方法を書かせて頂きましたが、中々持続するのは大変です。
別記事でダフニアオオミジンコの簡易的な培養方法についても書かせて頂きますので参考にしてみてください。
最後まで読んでくださりありがとうございました。