1度はアクアリウムを楽しむうえでブラインシュリンプという言葉を聞いたことあるかもしれません。
ブラインシュリンプは孵化後の生体に与える生き餌としてよく使われています。
しかし、今までに生体を繁殖させたことがなかったり、人工餌しか使用したことがない方にとって生き餌を沸かして使用するという行為はハードルが高いと思います。
今回はブラインシュリンプの特徴やメリット、デメリットについて分かりやすく説明させて頂きたいと思います。
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ブラインシュリンプとは
ブラインシュリンプとはアルテミア属に属しており、小型の甲殻類で世界各地の塩水湖に生息しています。
ブラインとは英語で海水という意味なのでブラインシュリンプは海水のえびという由来からきています。
アクアリウムの世界ではブラインシュリンプと呼ばれることが多いですが、養殖等の水産業ではアルテミアと呼ばれています。
1億年前から変化していない生きている化石と言われています。
代表種はアルテミアサリーナです。
ブラインシュリンプを購入する際によく聞くことがあるソルトレイク産に使用されているブアルテミア耐久卵がアルテミアサリーナの卵です。
見た目的には日本の水田に生息するホウネンエビに似ていて可愛らしい姿をしています。
日本には観賞魚の餌として耐久卵がアメリカ、ベトナム、中国から輸入されています。
産地によって栄養価や孵化直後のノープリウス幼生のサイズや孵化条件も変わってきます。
ブラインシュリンプは孵化して12時間程で卵黄の栄養分を消費して最初の脱皮を行い、15回程脱皮を行い、生体になります。
鑑賞魚の餌として使用する場合は栄養分が多い孵化直後の生体を生き餌として使用します。
ブラインシュリンプの耐久卵の保管方法について
ブラインシュリンプを缶で購入している方は缶の裏に製造日が書いてあります。
リンクのような小分けの物を購入されている方は箱の横に製造日が書いてあります。
個人的には店舗で購入できる方は製造日を確認してから購入するのがお勧めです。
以前、製造してから2年半経ったものが届きましたが孵化率が悪かったです。
ブラインシュリンプの耐久卵は購入後、湿気ないように蓋をしっかりとしてなるべく冷蔵庫にしまうようにしてください。
常温で保管しているとどんどん孵化率が悪くなってしまいます。
ブラインシュリンプの産地の違いについて
ブラインシュリンプの産地はアメリカのソルトレイク産、サンフランシスコ産、中国産、新中国産、ベトナム産、チベット産、ロシア産と様々な産地がありますが今回は日本でも比較的手に入りやすいソルトレイク産、新中国産、中国産、ベトナム産に焦点を当てて書かせて頂きます。
ソルトレイク産
日本で安定して手に入りやすい産地はソルトレイク産だと思います。
ソルトレイク産はユタ州にあるグレートソルト湖の野生の物を採取しています。
収穫は州によって監視されており10月から1月下旬の間に採取されます。
採取方法は飛行機等で浮遊している卵の油膜を探します。
浮遊した卵が発見されると無線で座標をボートに送り、ボートで向かい積んであるオイルフェンスで囲って採取しています。
塩分濃度が5%を下回ってくると卵の浮力が低下して採取が困難になってしまいます。
又、塩分濃度が低いとブラインシュリンプの餌となる藻類の繁殖にも影響してきてしまいます。
世界の海水の平均海水濃度は大体3.5%前後です。
グレートソルト湖の海水濃度は季節や天気で変動しますが、8%~25%あるそうです。
ブラインシュリンプの生産がもっとも高まる海水濃度は12~17%と言われています。
その為、年度によって天候や海水濃度、餌となる藻類の繁殖等様々な要因で供給量が変わってきてしまうので値段の変動や耐久卵の孵化率に差が出てきてしまいます。
最近は地球温暖化の影響で品質が年々少しずつ落ちてきています。
ソルトレイク産の孵化率は約80%~90%で同じ産地でも商品によって変わってきます。
商品規格に孵化率がのっているため、確認してから購入すると安全です。
幼生のサイズは0.4mmです。
栄養価は季節や年度によって変わってきますが大体蛋白53~60%、脂質15~17%前後です。
ベトナム産
ベトナム南部で養殖されています。
ソルトレイク産に比べると1割~2割程幼生のサイズが小さいです。
耐久卵のサイズも少し小さく感じます。
L型ワムシと比べると少し大きいので、ワムシの代用には使えません。
規格の孵化率は90%ですが、体感では卵の殻や孵化しなかった卵とブラインシュリンプをほとんど分離する必要がなく感じるため、かなり孵化率は高いです。
値段もソルトレイク産より高いですが、サイズが小さいことや孵化率が高い為、販売再開されてもすぐに売り切れてしまうことが多いです。
中国産
中国産はメーカーによって卵の種類が違います。
大まかに分けると2種類あります。
中国では大卵として流通していることが多いです。
ソルトレイク産より1周り卵も幼生もサイズが大きいです。
規格では95%と書かれていましたが、孵化率が悪かったので色々試しました。
卵が大きいせいか、人工海水で普段の1.5~2倍の濃度で強めのエアレーションがお勧めです。
孵化時間も24時間ですと、孵化率が悪く、30~32時間程かかりました。
新中国産
新中国産は中国では細卵として流通していることが多いです。
サイズはソルトレイク産と卵のサイズも幼生のサイズも同じくらいです。
ソルトレイク産のブラインシュリンプの株を使用して養殖していることが多いです。
孵化率も孵化条件もソルトレイク産に近いです。
ブラインシュリンプのメリット
嗜好性が高い
人工餌と違って生き餌は動きがあるため、好んで魚類は捕食します。
画像の通り、極限まで捕食してしまう程嗜好性が高いです。
コリドラスだとお腹が邪魔で動けなくなる程食べるのでこちらが心配するほどです。
勿論、コリドラスだけではなく、メダカや熱帯魚でも好んで食べてくれます。
意外とエビ等の甲殻類も好んで捕食します。
生残率が上がり体高や幅、色に差が出る
人工餌に比べ、孵化してからの幼魚の生残率に差がかなり出てきます。
飼育環境ではなく餌の変更だけで生残率があがるというのはかなりのメリットだと思います。
人工餌のみにくらべると体高や幅、色にも差が出てきます。
人工餌のみと比べると成体になった際のフルサイズや体高のかっこよさが違う為、初期飼料の重要性をより実感します。
栄養価が高く成長速度が速い
栄養価が高い為、こまめに1日何回か上げることで生体の成長速度が人工餌に比べて早いです。
人工餌のみとブラインシュリンプのみで比べたことがありますが、個体によって1.2~2倍近くまで差が出ました。
マグネシウムはどこの産地も同じくらいですが、リンやカルシウムはブラインシュリンプの産地によって大きな差があるため、人工餌も少し併用するのがお勧めです。
デメリット
手間や時間がかかる
ブラインシュリンプを沸かさないとならない為、少し手間がかかります。
又、エアレーションの強さだったりライトを当てたり水温を調整したりすることで孵化率にかなりの差が出るため、適切な方法ができるまでに時間がかかります。
淡水では生きられない。
ブラインシュリンプは海水えびなので、淡水では1時間程しか生きることができません。
その為、沸かす際は塩水を使用するようにしてください。
水を汚しやすい
ブラインシュリンプは高蛋白で幼生は小さい為、あげすぎた場合や淡水では1時間程しか生きることが出来ない為、フィルター等に吸い込まれやすく水も汚しやすい為、病気等が発生しやすくなります。
その為、上級者でない方は10分程度で食べきる量に抑えるようにするのがお勧めです。
水替えやろ過の調整で水質が安定できる方は生体の限界量まで与えても大丈夫だと思います。
孵化した際に使用した塩水はなるべく水槽内に入らないように漉した方が安心です。
画像の通り、これだけ沸かせた海水には蛋白や汚れが溶け込んでいます。
一日常温で使用した海水をとっておくと分かりますが次の日にかぐと凄い匂いがします。
まとめ
簡単に今回の記事のポイントをまとめます。
・ブラインシュリンプはアルテミアと呼ばれており、海水えびです。
・産地によって栄養価や沸かし方が変わってきます。
・栄養価が高く嗜好性も高い為、初期飼料として優れています。
・水を汚しやすい為、あげる際は食べきる量にすると安全です。
人工餌しかあげたことがない場合はブラインシュリンプも是非試してみてください。
生餌の凄さや初期飼料の重要性を実感できると思います。
最後まで見てくださりありがとうございました。