アクアリウムを始めてしばらくしてくるとなるべく飼育している生体にあった1番いい餌を与えたいと思うようになると思います。
しかし、お店にいくと様々な種類、様々な形状の餌が販売しており、どのようにして餌を選んだらいいか分からないと思っている方が多いと思います。
今回は餌を選ぶ際にどのようにして選んだらいいか成分表や原材料の観点から分かりやすく解説できたらなと思います。
Contents
食事について
私たちもそうですが、生命維持に欠かせない必須の栄養素を摂取するために食事を行っています。
アクアリウムで飼育する生体の場合でも、バランスのいい食事を行うことで成長速度や成体時のサイズの伸び、繁殖率にも変化してくると思います。
一般的には体重維持に必要な飼料の量は1日あたり、体重の1~2%、育成期では3%の量が必要と言われています。
魚類の場合では、元々植物性プランクトンや苔等の植物性の消化が得意な魚は植物質が多く配合された餌が好ましいとされています。
動物性プランクトンや肉食性の高い生体は植物性の消化が弱い為、動物性たんぱく質等が多く含まれた餌の方がいいとされています。
その為、1日に与える餌の量だけではなく生体の元々生息している地域や環境、食性を知ることも重要だと思います。
アクアリウムで使用される餌では生餌、冷凍餌(生き餌を冷凍したもの)や配合飼料等様々な種類の餌があります。
基本的に、どの種類の餌のパッケージにも分かりやすくどのような原材料、どのような成分がどのくらいの割合で入っているか記載されています。
なるべく分かりやすいよう原材料や成分表について説明させて頂きたいと思います。
成分表について
基本的に成分表は平成27年4月1日より、食品表示法が施行され、新しい食品表示制度に変更されています。
食品表示法では、加工食品の場合、原材料名と添加物をそれぞれ事項名を設けて表示するか、原材料名欄に原材料と添加物を明確に区分して表示することになりました。
原材料自体も、最も一般的な名称で使用した重量の割合の高い順に表示されています。
配合飼料や生き餌の成分表も基本的には同じなことが多いです。
タンパク質
主に原料として動物性たんぱく質ではフィッシュミールやオキアミール、イカミールが多いと思います。
植物性たんぱく質では小麦や大豆ミール、トウモロコシが使われることが多いです。
成分表では蛋白質が成長や生命維持、繁殖に一番必須の為、含有量が多いです。
その為、成分表でも一番初めに記載されていることが多いです。
基本的には蛋白含有量は著しい成長期の稚魚で40~50%、穏やかな育成期で30~45%と言われています。
魚類の食性でも変わってきますが、肉食魚は植物性の餌を好む魚や雑食の魚に比べ、蛋白含有量が多いものが好まれると言われています。
タンパク質は消化管でアミノ酸に分解され、腸管粘膜上皮から吸収されます。
魚類の必須アミノ酸はイソロイシン、ロイシン、バリン、スレオニン、メチオニン、トリプトファン、フェニルアラニン、リジン、アルギニン、ヒシチジン、タウリンが必須とされています。
炭水化物
主に原料として大豆ミールやでんぷん(小麦粉、馬鈴薯)、ふすまが多いです。
炭水化物の役割は主にエネルギー源の供給や体の構成要素となります。
肉食魚は炭水化物の吸収率は低く、吸収しても血糖のコントロールが難しい為、炭水化物の過給は成長を阻害されると言われています。
草食性の強い生体は炭水化物もよく吸収します。
エビ類等の甲殻類は炭水化物の消化吸収が得意なので、多めに配合されていることが多いです。
基本的には、炭水化物は配合飼料の粘性を高める為に使用されることが多いです。
炭水化物は消化管内でグルコース、ガラクトース、レマンノース、レキシロース等といった単糖質まで分解され、腸管粘膜上皮から吸収される。
脂肪
主に原料として魚油、植物油を使用することが多いです。
脂肪はエネルギー源、必須脂肪酸(リノール酸、リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸)、リン脂質、脂溶性ビタミン、アスタキサチン等のカロチノイドの供給源となります。
エネルギー源
肉食魚は炭水化物をエネルギー源として効率よく吸収できない為、脂肪からのエネルギー供給が重要です。
脂肪は脂肪酸とグリセリンに分解され、腸管粘膜上皮から吸収されるが、一部は脂肪のままでも吸収されます。
必須脂肪酸
必須脂肪酸は魚の体内で合成することが出来ない為、外部から摂取しないといけない脂肪酸です。
魚の種類によって要求する脂肪酸は違うと言われていますが、大きく分けると淡水魚と海水魚で違います。
淡水魚は炭素数が18(リノール酸、リノレン酸、)の脂肪酸を使用します。
淡水魚でも魚類によって違いますが、リノール酸1%、リノレン酸1%のことが多いです。
淡水魚は配合餌に含まれている炭素数が18(リノール酸、リノレン酸、)をEPAやDHAといった高度不飽和脂肪酸(HUFA)に自分で変換することができます。
海水魚では炭素数が18(リノール酸、リノレン酸)を炭素数20(EPAであるエイコサペンタエン酸、DHAであるドコサヘキサエン酸)まで分解する酵素が少なく転換する能力が低いです。
その為、海水魚では稚魚に与えるワムシやブラインシュリンプに栄養強化(EPA、DHA)してから与える必要があります。
ス-パ-生クロレラ-V12のようにEPAとDHAを生体濃縮されたものは栄養強化しなくてもいい場合があります。
リン脂質
針子や稚魚の場合、リン脂質を必要とします。
甲殻類ではサイズにかかわらず、リン脂質を必要とします。
リン脂質は脂質の運搬を担ったり、細胞膜の構成成分となり、欠乏すると、成長不良や形態異常の原因と言われています。
ビタミン
主に原料としてビタミンと書かれていたり、魚粉等の原材料に含まれていることが多いです。
ビタミンは微量でも、生体の代謝を正常な状態に保ち、生理機能を円滑に働かせる潤滑油のような作用があります。
よく分かりやすく分けると生命維持と正常な成育、免疫増強作用、成長段階での生理作用です。
その為、ビタミン不足で、成長が抑制されたり、様々な病気にもなりやすいと言われています。
そんなビタミンは動物体内ではほとんど生成されない為、外部から取り込む必要があります。
脂溶性ビタミンとしてビタミンA(レチノール)、ビタミンD(カルシフェロール)、ビタミンE(トコフェロール)、ビタミンKがある。
水溶性ビタミンとしてビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラミン)、ビタミンB6(ピリドキシン)、パントテン酸、イノシトール、ビオチン、葉酸、ナイアシン、ビタミンB12(シアノコバラミン)、コリン、ビタミンC(アスコルビン酸)があるので、成分表を見る際の参考にしてみてください。
まとめ
今回の記事を簡単にまとめます。
・1日あたり必要な餌の量は体重の1~2%、育成期で3%。
・生体によって消化しやすい栄養素が違ってくる。
・成分表は重量の多い順に記載されている。
・蛋白質は成長や生命維持、繁殖に一番必須と言われている。
・炭水化物は生体によっては吸収率が違ってくる。
・脂肪はエネルギー源だけでなく、外部から取り入れる必要のある栄養素が含まれている。
・ビタミンは微量でも、生体の代謝を正常な状態に保ち、生理機能を円滑に働かせる潤滑油のような作用がある。
今回の記事を読むことでなんとなく、生体に与えていた餌についてより知ることができるかと思います。
企業やメーカーは生体に特化した餌を開発、販売されている為、色々な餌の成分表や原材料を見ることで、どのような成分を必要と考えているのか知ることができるので、是非気にして読んでみてください。
最後まで読んでくださり、誠にありがとうございました。