様々なろ過器がある中で、今回は上部フィルターの構造やメリットとデメリットについて細かく解説させて頂きたいと思います。
本記事では下記について書いていきたいと思います。
Contents
上部フィルターの構造と仕組みについて
上部フィルターは水槽の上部(水槽の上)に設置して使用するろ過フィルターです。
メーカーによって見た目は違ったりしますが、基本的な構造としては画像の通りです。
①画像のようにストレーナー部分(下向きのマイク型に見える部分)から給水ポンプのパワーを使って上部フィルターの中に飼育水を吸いこみます。
②ストレーナー部分から吸い込まれた水がマットやろ材の上に落ちていきます。
③基本的にはウールマットで水槽の中の水草の切れ端や残り餌、糞等を物理的に除去します。
④ウールマットで物理的に汚れを除去した後、ボール状やコラム状のろ材に付着している硝化細菌によってアンモニア等の有害物質が生物ろ過されています。
③ろ材の中を通って綺麗になった飼育水は下の落水管(右側のパイプ)から水槽の中に戻っていきます。
基本的には上記のような循環を繰り返して水を綺麗にしています。
上部フィルターに使用するウールマットとろ材について
ウールマットについて
ストレーナー部分から吸い込まれた水が一番初めに触れる部分はウールマットになります。
ウールマットでは物理ろ過を行っています。
ウールマットの種類も様々あって飼育スタイルによって選び方が変わってきます。
ウールマットを頻繁に交換できる人(2週間~4週間に1回程度)はGEX等の安いウールマットでも問題ありません。
しかし、ジェックスの徳用ろ過マットは安くて厚さがありますが、マット自体の密度が荒い為、穴が開いてしまったり、汚れが溜まってくると汚れが取り切れなくなってしまいます。
その為、頻繁に交換することが難しい方は高密度タイプの密度が細かく硬い物を使用するのが良いと思います。
ろ材について
飼育水がウールマットが通った後、次に行きつく場所はろ材部分になります。
上部フィルターの場合、ろ材はボール状やコラム状のろ材がお勧めです。
何故かと言うと、上部フィルターの場合、ストレーナー部分から吸い上げられた飼育水がシャワー状に落ちてウールマットの中を通ってろ材にたどり着きます。
シャワー状に落ちてくる飼育水は外部フィルターの場合と違い、酸素を多く含んでおり、好生物ろ過を行う硝化細菌がより増えやすい環境となっています。
又、しっかりとウールマットで汚れも物理的にろ過されているため、目詰まりする可能性も低いです。
その為、小さくて沢山入るボール状やコラム状のろ材の方が、硝化細菌の住処を多く確保することができます。
私的には多孔質でボール状やコラム形状のエーハイムサブストラットプロやパワーハウスSサイズがお勧めです。
上部フィルターのメリット
物理ろ過に優れており、ウールマットも交換しやすい
他の種類のろ過器に比べてウールマットの面積が大きい為、吸い込んだ汚れや糞、水草の破片等をしっかりとこしとることができます。
大量の糞をする大型魚や熱帯魚を飼育している方がよく好んで上部フィルターを使用しているのを見かけます。
又、上部フィルターの蓋も簡単に開けることが出来るため、しっかりと汚れをこし取った後のウールマットの交換も簡単に行うことができます。
ウールマットを交換する場合、新しいウールマットは飼育水に沈めてから使用するようにしてください。
乾いた状態でウールマットを入れてしまうとストレーナー部分から吸い上げられた飼育水をはじいてしまう場所が出来てしまいます。
そうすると、水の通過する部分としない部分ができ、一定の場所にしか飼育水が行かなくなってしまう可能性があります。
一定の場所にしか飼育水が行かなくなると効果的に物理ろ過や生物ろ過を行うことができなくなってしまいます。
生物ろ過にも優れている
外部フィルターに比べるとろ材容量が少なく、ろ過能力が劣ると言われることもありますが、基本的な60cm水槽用の上部フィルターのろ材量は2.8ℓ前後入れることができ、外部フィルター(エーハイム2213コンテナ使用時、3.0ℓ)とそこまで、大きな差はありません。
上部フィルターの場合、リング状ろ材ではなく、ボール状やコラム状のろ材を使用することができるため、硝化細菌の住処となる微生物定着有効面積1,620㎡/L(パワーハウスソフトSの場合)も多く確保できるため、生物ろ過に優れていると思います。
又、ドライろ過と言ってろ材が水に沈んでおらず、空気中に露出していることやシャワー状に飼育水が落ちてくるため、生物ろ過を行う硝化細菌も空気を取り込んでより増えやすい環境が整っていると思います。
上部フィルターの中でもレイシーから販売されている上部フィルターはろ過面積が30%もワイドになっている為、生物ろ過を重視する方に好まれています。
水槽内に酸素を取り込みやすい
綺麗になった飼育水は多くの空気を含んでいたり、落水管を通って水槽の中に戻るため、水流の勢いで水面を揺らしてくれるため、水槽内の溶存酸素量が多くなります。
外部フィルターに比べると安価で初心者でも扱いやすい
上部フィルターは外部フィルターに比べると安価で購入しやすいと思います。
又、アクアリウム専門店でなくても、ホームセンターで簡単に購入することができるのも魅力の一つだと思います。
他にも構造自体が単純な為、アクアリウム初心者でも簡単に理解することができます。
アクアリウム専門店ではなく、ホームセンター等のアクアリウム部門でも使用されていることが多い為、店員さんに分からないことがあった場合、聞きやすいと思います。
注意点として上部フィルターはフレームがない水槽には使用できないことが多いので、購入する前に確認するのが安全です。
上部フィルターのデメリット
水槽内のメンテナンスがしにくく生体が吸い込まれる可能性がある。
生体を繁殖したり、選別する場合、頻繁に水槽内に手や網を入れることが多いと思います。
上部フィルターの場合、水槽上部の大部分を覆ってしまう為、水槽内に手や網を入れにくいです。
又、見た目的にもかなり大きく目立つ為、景観を損なうと言っていやがる方もいるかと思います。
小さい生体ですと、ストレーナー部分から上部フィルターに吸い上げられてしまう可能性があるため、ストレーナースポンジ等を使用すると安全です。
水草水槽には不向き
光量を多く使用する水草を育てたい場合、水槽上部の大部分を上部フィルターが覆ってしまう為、ライトが1個しかおけなかったり、水槽用ライトを置く位置も限られてしまう為、光が届きにくい部分が出来てしまいます。
又、上部フィルターは落水管を通って排水される為、自然にエアレーションの効果を発揮してしまい、二酸化炭素を添加しても効果が薄れてしまう可能性があります。
音が外部フィルターに比べ大きい
ストレーナー部分からくみ上げられた水がウールマットに落ちる際に水が落ちる音が聞こえることがあります。
また、落水管と水面の位置によっては水が水面を揺らす音や水が落ちる音が聞こえる可能性があります。
他にも本体と蓋のかみ合わせが悪かったりするとモーターの振動音が目立つ場合があります。
まとめ
簡単に今回の記事のポイントをまとめます。
・外部フィルターに比べると安価で構造が簡単。
・飼育スタイルに合わせてろ材やウールマットを調整できる。
・物理ろ過や生物ろ過に優れており、メンテナンスしやすい。
・水槽内に酸素を取り込みやすい。
・水槽内のメンテナンスがしにくい。
・水草水槽には不向き。
・外部フィルターに比べ、音が大きい。
最後まで見てくださりありがとうございました。