熱帯魚の餌として何気なく使用しているアカムシ(冷凍赤虫)について今回は記事にさせて頂きたいと思います。
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ユスリカについて
ユスリカは幼虫が体を揺らすように動かすことに由来して名前がついていると言われています。
よく、熱帯魚を飼育する際に生餌として使用しているアカムシはユスリカの幼虫です。
基本的には池沼や流れの穏やかな川等に生息しています。
日本ですと蚊柱がたつことがありますが、蚊柱はユスリカのオスがメスに求婚している様子です。
ユスリカは蚊とは違い、人をさすことはありません。
アカムシについて
現在、日本に輸入されているアカムシのほとんどが韓国や中国からはいってきます。
きちんとしたメーカーの物ですと川や沼から採取したものではなく、中国や韓国の水田で養殖しています。
まず、水田に鶏糞等を入れます。
そうしてしばらく経つとアオモやミジンコやイトミミズ等の微生物が沢山沸きます。
ある程度してミジンコが湧かなくなって死骸が沈殿してくるとアカムシの餌となるデトリタスが多くいる環境が出来るため、育成できる土壌が出来上がります。
そうなるとアカムシが産卵してアカムシが孵化して成虫になるというサイクルができます。
アカムシが水田に増えてくると成虫になる前に採取されます。
採取した後に泥やゴミがないように洗浄し、その後冷凍して日本に輸入されます。
冷凍方法や洗浄方法はメーカーによって違う為、解凍した際に色の違いや不純物の混ざり具合等にもかなり差があるように感じます。
アカムシに使用される着色料について
メーカーによってはアカムシを鮮やかに見せる為に食品等に使用される亜硝酸ナトリウムを使用場合があります。
亜硝酸ナトリウムは別名亜硝酸ソーダとも言われています。
加工肉等の発色剤や防腐剤として使用されることが多いです。
食品では細菌繁殖を抑制するために肉を加工する際には添加が義務づけられていますが、水に溶けやすい性質を持っていたり使用する量によっては発がん性もあると言われています。
人間と違い、サイズの小さい熱帯魚や甲殻類には少しの量でも有害になり得る可能性があるため、なるべく冷凍アカムシを購入する際は無着色のものや成分に亜硝酸ナトリウム(NaNO2)が使用されていないものを使用するように私はしています。
実際に入っているか測定したい場合はプラスティック等のコップに冷凍アカムシを入れて溶解し、上澄み液をセラ社から出ている亜硝酸試液で計ることで目視できます。
アカムシの成分について
昔から高たんぱくでミネラルも豊富で高脂肪のアカムシは重宝されていました。
昔は生きたアカムシが購入できましたが、現在はほとんど流通していません。
現在では冷凍アカムシや乾燥アカムシが主流になっています。
冷凍アカムシの成分
粗蛋白 | 粗脂肪 | 粗繊維 | 水分 |
6.3% | 0.8% | 0.3% | 89.7% |
乾燥アカムシ
蛋白 | 脂肪 | 繊維 | 灰分 |
60% | 8.0% | 3.0% | 10% |
冷凍アカムシの場合は生きたアカムシを急速冷凍しているため、水分量が多いですが、水分を抜いた場合の成分は乾燥アカムシに記載されている成分とあまり変わりません。
稚魚や育成期や繁殖前の生体は高蛋白、高脂質の餌を与えることで、成長速度が速まったり産卵数が増えたりするのでお勧めです。
アカムシの保存方法について
アカムシを冷凍保存する上でなるべく、酸素と乾燥を避けることが大切です。
冷凍されたアカムシは酸素に触れるとどんどん酸化して黒ずんでいきます。その為、使用していないアカムシが入っている包装が破けないように気をつけて使用しましょう。
また、冷凍庫の中は乾燥している為、密封されていない冷凍の物はどんどん乾燥していきます。
乾燥したり、酸素に触れて酸化してしまったアカムシは栄養価も低くなってしまいます。
他にも長時間冷凍アカムシを使用した際にしまい忘れたり、冷凍庫自体を何度も開けたりしめたり、長時間常温で置いて再冷凍にならないように気をつけましょう。
1度解凍されてしまったアカムシを再冷凍すると、通常の冷凍庫ですとアカムシが冷凍されるまでに長い時間がかかります。
再冷凍される際に時間がかかることで細胞内の血や旨味成分の含まれた水分がゆっくり凍り膨張して細胞膜を破壊してしまいます。
細胞膜が破壊されると再解凍した際に壊れた細胞膜の隙間からうまみ成分や栄養分が出てしまいます。
なので、専用の生体用の冷凍庫がない場合はアカムシを沢山買って冷凍庫において置くのではなく、数か月で確実に使用できる分だけ購入すると安全です。
アカムシの解凍について
購入するアカムシによっては殺菌が不十分であったりゴミや異物、他の虫の混入があることがあります。
実際に画像に写っている細かい黒い物が泥や異物です。
この細かい泥や異物が水槽内に入ったり解凍せずにそのまま餌として与えると生体が捕食して調子を崩すことがあります。
その為、メッシュカップに入れて水道水で洗浄しています。
又、メーカーによっては解凍時に細胞膜が壊れており、解凍した際に細胞内の血や成分が出てくる場合があります。
その場合もしっかりと水道水で流すことで、飼育水が汚れにくくなると思っています。
アカムシのあげ方について
アカムシのあげ方は生体によって少し工夫しています。
メダカ等浮上する餌を食べる場合
メッシュカップを上向きのまますこしずつ沈めていきます。
そうするとアカムシが浮上しやすいです。
手で餌をあげる場合も人差し指と親指で餌をつまんだ後、人差し指に乗せて軽く水面に近づけると浮きやすいです。
浮上させたい場合はエアーポンプを切るとより効果的です。
私は線を差しなおすのを忘れてしまうことがあるので、ポンプを切る際はタイマーを使用して万が一忘れても電源が自動的に入るようにしています。
コリドラス等沈下性の餌を食べる場合
アカムシを解凍した際に洗浄するとしっかりと水分を含んでいる為、沈みやすくなっていると思います。
ある程度の解凍したアカムシの塊を親指と人差し指で摘まんで底面近くまで持って落としてあげるとそのまま沈みます。
そうするとそのまま浮かんでくることはあまりないと思います。
アカムシを食べ残した場合について
アカムシは水を汚すと言われていますが、実際には食べ残さない場合については人工餌と同じくらいしか水が汚れないと思っています。
実際にTDS計(水にどのくらいのものが溶けているか分かる機械)で飼育水をあげる前とあげた後で測定しましたが、人工餌と同じく5ppm程度しか上昇しませんでした。
冷凍アカムシを解凍した方法はさきほど記載させて頂いた方法で解凍してあげています。
しかし、食べ残した餌を放置することでアカムシは高蛋白、高脂質ですので水は人工餌に比べ、汚れやすいと思います。
その為、半日から1日経っても残っている餌はスポイトやプロホース等で水槽の外に出してあげるようにしてください。
まとめ
簡単に今回の記事のポイントをまとめます。
・アカムシはユスリカの幼虫である。
・海外の水田で採取されている為、泥や異物等が混ざりやすい。
・亜硝酸ナトリウムを使用して着色しているものは使用しない。
・アカムシを保存する際は保存方法に留意して使用する。
・アカムシは高蛋白、高脂肪で生体の食いつきもよい。
・生体の育成期や産卵前に与えることで効果を感じやすい。
・アカムシを解凍する際はよく洗浄する。
・食べ残した餌は水槽の外に除去する。
アカムシ等の生餌を上手に活用することで生体を繁殖させたり育成する楽しさをより感じやすいと思います。
最後までみてくださりありがとうございました。