水道水をアクアリウム(熱帯魚、甲殻類、水草)に使用する場合、塩素をどのようにして抜いたらいいのか分からない方もいるかと思います。
今回は水道水に含まれる塩素とアクアリウム(熱帯魚、甲殻類、水草)に使用する水道水から塩素除去(カルキ抜き)する方法について分かりやすく説明します。
今回の記事では下記について書いていきたいと思います。
Contents
水道水に塩素が含まれている理由について。
日本の水道水は河川や池、雨水等をダムで貯めたものを自然の汚れを取り除き使用しています。
河川や池、雨水等をダムで貯めた水には病原微生物等の生物も多く含まれている為、浄水場で有害な物質を取り除き、最後は塩素がもつ漂白、殺菌作用によって消毒して安全な水が蛇口を捻るだけで供給できるようになっています。
基本的に水道水に使用されている塩素の量は微量の為、人体には影響のない濃度だとされています。
法律で蛇口から出る水道水の中に0.1mg/L基準値以上の残留塩素があると定められています。
何故ならば、塩素の最低基準が決められているのは確実に水道水の殺菌消毒が確実に行われているか判断する為です。
肌の弱い人によっては残留塩素によって肌トラブルを起こしたりする可能性があるので、私たちに比べ、はるかに小さい熱帯魚、甲殻類、水草にとってはより有害な成分となっていまいます。
その為、塩素を抜いてから水槽の中に入れてあげることが大切です。
次亜塩素酸ナトリウムと次亜塩素酸カルシウム(カルキ)とは。
河川や池、雨水等をダムで貯めた水には病原微生物等の生物も多く含まれている為、浄水場で有害な物質を取り除き、最後は塩素がもつ漂白、殺菌作用によって消毒して安全な水が蛇口を捻るだけで供給できるようになっています。
水道水を消毒に使用するのに国に認められているものは次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、液化塩素です。
カルキとはドイツ語で「石灰」という意味の言葉です。
固形の次亜塩素酸カルシウムのことをカルキと言います。
現在では水道には使われていませんが、プール等では未だに使用されています。
次亜塩素酸ナトリウムは液化塩素に比べ安全性が高く、取扱いも難しくない為、現在の水道では液体の次亜塩素酸ナトリウムが主流となっています。
次亜塩素酸ナトリウムは私たちの身近な物ですと洗濯の際に使用するハイター等に含まれています。
次亜塩素酸ナトリウムの性質について。
次亜塩素酸ナトリウムには以下の性質があります。
次亜塩素酸ナトリウムは常温でも不安定な化合物で徐々に自然分解されます。
自然分解がより促進される要因は日光、特に紫外線です。
他にも温度の上昇とともに分解率は増加します。
次亜塩素酸ナトリウムには酸化作用があります。そのため、金属類、繊維類のほとんどのものが腐食されます。
アクアリウム(熱帯魚)に水道水を使用する場合、塩素は腐食性であり、0.02mg/L以上になると魚の体表粘膜に刺激を与えると言われています。
またろ過バクテリアの数を減らし、フィルターの有害物質の分解作用を妨げる可能性があります。
残留塩素と遊離残留塩素と結合残留塩素について。
消毒された水道水に含まれている塩素量のことを総称して残留塩素と呼びます。
残留塩素には遊離残留塩素(ゆうりざんりゅうえんそ)と結合残留塩素(けつごうざんりゅうえんそ)の2種類あります。
遊離残留塩素
水道に含まれている殺菌力のある塩素のことです。
遊離残留塩素濃度は殺菌力の指標として用いられています。
アクアリウムで除去したい残留塩素は遊離残留塩素です。
結合残留塩素
塩素消毒を受ける前の水にアンモニアなどが含まれていると塩素消毒剤とアンモニアが反応して生成された塩素のことです。
結合残留塩素は汚れの指標として用いられます。
残留塩素があるのか調べる方法について。
水道法により、比色法(DPD法)、電流法、吸光光度法のいずれかを用いて塩素があるか検査すると定められています。
しっかりとDPD法を使用して遊離残留塩素が除去できているか確認したい場合、ハンナ 残留塩素(遊離塩素)LRチェッカーを使用して測定すると安心できると思います。
簡易的でもいいから水道水に含まれている塩素が除去できているか確認したい場合、初心者の方でも簡単に検査できるセラ (sera) Cl(塩素)テストがお勧めです。
実際に塩素除去(カルキ抜き)する方法について
塩素除去(カルキ抜き)をする方法について大きく分けると3種類あります。
自然の力を活用する。
1つ目は次亜塩素酸ナトリウムは常温でも不安定な化合物で徐々に自然分解されるという性質を持っています。
自然分解がより促進される要因は日光、特に紫外線です。
他にも温度の上昇とともに分解率は増加します。
自然の力で次亜塩素酸ナトリウムを分解させる方法で1番なじみのある方法は水道水をバケツ等の容器に入れて日光に当てることです。
日光に含まれる紫外線に当てることで、晴天であれば半日程度で遊離残留塩素はなくなります。
夏は水温も高くなりやすい為、8時間もあれば、遊離残留塩素はなくなります。
室内で水道水を汲み置きしていても2日程度で遊離残留塩素はなくなります。
中々屋外や日光に当たる環境を作るのが難しい場合はエアレーションによっても遊離残留塩素はなくなります。
実際に行った結果2日で確実に遊離残留塩素はなくなりました。
結合残留塩素はエアレーションでも日光に当てた場合でも12日程度検出されていました。
化学的に塩素を無害化する。
2つ目は薬品を使用して科学的に塩素を無害化させる方法です。
各メーカーより様々なカルキ抜きが販売されています。
実際に書かれている規定量は塩素が多く水道水に含まれている地域でも確実になくなるように多めに書かれています。
実際に昔、水槽20本程使用して実験を行ったことがありますが、カルキ抜きの種類によってはレッドビーシュリンプが水替えの度に落ちてしまうものもあったため、注意が必要です。
ケンミジンコ等の微生物も他の水槽に比べ、ほとんど目に見えませんでした。
ビタミンCを投入することでも、塩素は化学反応によりなくなります。
浄水器を使用する。
3つ目はアクアリウム用浄水器を使用することです。
アクアリウム用の浄水器の中にはコットンフィルターとカーボンフィルターが設置されています。
カーボンフィルターは活性炭で作られている為、物理的に塩素や微粒子を吸着除去します。
導入時は少し高く感じるかもしれませんが、水槽の数が多い場合、カルキ抜きに比べるとランニングコストは最終的に安くなり、1番安全、安心してアクアリウム(熱帯魚、甲殻類、水草)に使用することができます。
まとめ
簡単に今回の記事のポイントをまとめます。
・水道水には漂白、殺菌効果のある塩素が使用されている。
・現在は水道水には次亜塩素酸ナトリウムが使用されている。
・次亜塩素酸ナトリウムは常温でも不安定な化合物で徐々に自然分解される。
・次亜塩素酸ナトリウムの自然分解がより促進される要因は日光、特に紫外線である。
・次亜塩素酸ナトリウムは温度の上昇とともに分解率は増加する。
・次亜塩素酸はナトリウムは腐食性であり0.02mg/L以上になると魚の体表粘膜に刺激を与えると言われている。
・次亜塩素酸ナトリウムはろ過バクテリアの数を減らし、フィルターの有害物質の分解作用を妨げる可能性がある。
・残留塩素があるかどうか試薬や残留塩素チェッカーで調べることができる。
・水道水をバケツに入れて日光に当てることで、塩素はなくなる。
・水道水を室内でエアレーションしても2日で塩素はなくなる。
・カルキ抜きで科学的に塩素をなくすことができる。
・浄水器を使用すると安全に塩素を吸着除去することができる。
中々、飼育がうまく行かない場合はもしかしたらアクアリウムで多くの比率を占めている水が関係あるかもしれません。
個人的には甲殻類を飼育、繁殖する場合、浄水器を使用することが1番安全、安心できると思います。
最後まで見てくださりありがとうございました。