アクアリウムの基礎

蛍光灯(水槽用ライト)の特徴やメリット、デメリットを細かく解説します。

ここでは蛍光灯について細かく解説していきたいと思います。

実際に蛍光灯を使用して今まで、様々な水草や生体を繁殖させてきています。

水槽用ライトによく使われている単位や用語を分かりやすくまとめた記事を書かせて頂きましたのでよろしかったら参考にしてください。
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蛍光灯ライトを実際に使っている用途

・様々な水草

・様々な生体

蛍光灯が原因で今までに繁殖できなかった生体や水草は今の所、ありません。

蛍光管の構造

一般的な蛍光管はガラス管と両端に取り付けられた電極とで構成されています。

電極はコイル内のフィラメントにエミッターという電子放射性物質を塗布したものです。

ガラス管内は放電しやすいように大気圧よりも低い圧力にして、更にアルゴンなどの不活性ガスと微量の水銀が封入されています。

発光のしくみ

フィラメントから放射された電子が水銀蒸気の原子に衝突することで発生する紫外線がガラス管の内面に塗布した蛍光物質を励起して発光します。

このことを放射ルミネセンスといいます。

蛍光灯の種類

 

グロー点灯管式(スターター、グロースターター)

構造が簡単で安価な為、世の中で一番一般的な点灯方式です。

水槽用の蛍光灯でも最も採用されている方式です。

グロー点灯式蛍光灯器具は蛍光管・グロー点灯管・安定器・雑音防止コンデンサー等で作られています。

グロー点灯管は固定電極とバイメタル金属からなる可動電極からできています。

安定器は鉄心にエナメル線をまいたコイルでできています。

一番の特徴は電源を入れてから数秒点灯までに時間がかかります。

蛍光灯にはFLと表記されています。

点灯のしくみ

電源を入れるとその電圧がグロー点灯管の電極間にかかり放電をはじめます。

するとバイメタル金属が加熱されて湾曲し、電極が接触します。

この時、電流が安定器とフィラメントを流れてフィラメントは加熱され、電子を放射しやすい状態になります。

電極が接触したグロー点灯管は放電をやめ、バイメタルが冷えて元の状態に戻り電極が離れます。

その瞬間電流が途切れることで安定器から逆起電力による高電圧が発生します。

この電圧が蛍光管の両方のフィラメントにかかり、加熱されて電子を放射しやすい状態になっていたフィラメント間で放電が始まります。

放電が始まるとフィラメントから電子が放射され、反対側のフィラメントに飛んでいきます。

そして蛍光管内に封入してある水銀蒸気の電子に衝突し、取り込まれます。

この時、電子の持っていた運動エネルギーが紫外線として封入されます。

その紫外線が、蛍光管の内面に塗布してある蛍光物質を励起して発光します。

インバーター照明

 

インバーター照明も蛍光管を点灯する原理は一般的なグロー式と同じです。

しかし、高周波を使用することで多くの特徴を持っています。

蛍光管の中を高周波電流が流れるので、ちらつきがほとんどありません。

又、50kHzの高周波電流を流すと電子の放射回数は毎秒10万回と非常に多くなり、それに伴い、水銀の原子と電子の衝突回数も増加します。

すると、衝突で発生する紫外線が増加するため、蛍光灯の内部に塗布した蛍光物質に多く当たります。

このため、可視光線が大幅に増加し、一般的な蛍光灯より明るく点灯します。

ですので、最も水草育成に向くと言われています。

内部の電気回路にも重い安定器がないので、グロー式より本体の重量が軽く、安定器から発生するような騒音もほとんどありません。

更に、電源周波数は50kHzでも60kHzのどちらでも使えます。

蛍光灯にはFLFと表記されています。

点灯のしくみ

インバーター照明では交流電源を整流回路で直流に変換し、次に半導体素子を使ったインバーター回路で50kHzの高周波電源を作り出します。

電源を入れるとエミッター(パーツ)の消耗を防ぐために1秒間フィラメントを温め、電子が飛びやすい状態になってから電極間に高い電圧をかけて放電を行います。

放電中は蛍光管の中を高周波電流が流れます。

ラピッドスタート式蛍光灯

ラピッドスタート式蛍光灯は名前の通り、即時点灯型の照明器具でスイッチを入れてから約1秒で点灯します。

グロー点灯管は不要で、蛍光管はラピッド専用の物を使用します。

この蛍光管は導電性皮膜を管内面に塗布したものと管の外側に直線状の伝導性皮膜を塗布したものがあり、普通の蛍光管は使えません。

あまり、アクアリウムで使用されているのは見たことない気がします。

点灯のしくみ

電源を入れると変圧器2次側のフィラメント用のコイルに電流が流れ、フィラメントを加熱します。

それと同時にフィラメントと伝導性皮膜の間で微放電が起こり微小電流が流れます。

微小電流が伝導性皮膜に沿って徐々に反対側の電極まで届いたときに、フィラメント間の放電が始まります。

蛍光灯ライトのメリット

 

様々な水草を育てることができる。

蛍光管に使用されている発光物質の組み合わせを各メーカーが工夫してくださっているので、様々な波長の光を出すことができます。

ですので、蛍光管を変更したり、組み合わせたりすることで様々な水草を育てることができます。

様々な生体を育てることができる。

生き物を飼育するだけでしたらもしかしたら、ライトは要らないのかもしれません。

しかし、繁殖するのに当たって光が繁殖のスイッチの必要条件になっていたり、藻類等の植物性プランクトンが光合成し水槽内で増殖し、それを捕食するプランクトンや生体が増えるといった、微生物環にも1役買っていると思っています。

導入金額が安い。

現在では、LEDが主流になり始めており、蛍光灯ライトの本体自体が中古や新品でも安く売られていることが多くなってきています。

LED化も行うことができる。

交換用の蛍光管が徐々に生産終了されていますが、万が一、蛍光管がなくなってしまっても、LEDに変換することもできます。

蛍光灯ライトのデメリット

 

寿命がLEDより早い。

蛍光管の寿命自体は大体6000~12000時間と言われています。

LEDは40000~50000時間と言われています。

ですので、LEDに比べて寿命が短いです。

又、蛍光管は放電を開始する際にフィラメントのエミッターを消耗するため、蛍光管の寿命は点灯の回数に大きく左右されると言われています。

明るさ

蛍光管は使用し始めてから100時間くらいまでは急激に明るさが減少していきます。

その後は安定した状態になり、少しずつ明るさが減少していきます。

使い始めてから100時間点灯した後時の明るさを蛍光管の定格値ということが多いです。

定格値の70%まで明るさが減少した時に寿命がきたということが多いです。

交換したばかりの蛍光管と長く使用している蛍光管を比べるとその差は一目瞭然です。

本体が重たいことが多い。

方式によりますが、グロー点灯管方式は大きくて重たいことが多いです。

又、大きくてスペースを取るために選別等をする際に水槽のサイズが小さいと邪魔になることがあります。

まとめ

簡単に今回の記事のポイントをまとめます。

蛍光管でも十分にアクアリウムを楽しむことができます。

現在でも蛍光管で繁殖や水草の育成を楽しんでいる水槽があります。

蛍光管の方式によって、使用できる蛍光管が違う為、交換用に購入される場合は注意が必要です。

蛍光管の寿命は電気が完全につかなくなってからではなく、明るさが定格値の70%以下になったら寿命と言われています。

長く使用することで徐々に明るさが減少し、水草が育ちにくくなったりする場合がありますので、早めの交換をお勧めします。

私も少しずつLEDに切り替えていますが、蛍光管には蛍光管の良さや趣があると思いますので、無理にLEDに切り替える必要はないと思います。

大事なのは自分のできる範囲で趣味を全力に楽しむことだと思います。

最後まで見てくださりありがとうございました。

ABOUT ME
XYL1SH
アクアリウムという趣味がもっと気軽に出来て繁殖の面白さを知ることができたら楽しいのではないかと思い、記事を書き始めました。 私が培ってきた経験や知識を元に書いているので意見の食い違い等もあるかもしれませんが、暖かい目で見て頂けたらなと思います。 又、日々、生体を繁殖させている中で今よりもっといい方法を見つけた場合は記事内容に斜線をひいて変化していくと思いますが、ご了承ください。 実際に繁殖させている生体はyou tubeやInstagramに載せている為、お時間がありましたら参考にしてください。